ネタバレ・感想あり記憶の技法のレビュー

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まさかの先の選び取った訳ではない答え
ネタバレ
2024年8月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 元になると思われる事件は現実に過去起きており、加害者側の置かれた立場からくる行動と被害者の取った行動がお互いの思惑とは真逆のどちらも望んでいない結末へと絡まりながら転がるように凄惨な終わりをむかえる後味の悪さがあります。その事件の要素が作者さんのフィルターを通してストーリーを構築して展開される作品の世界はミステリアスさや切なさや痛みや怖さに淡い希望や救いが織り混ぜられて絶妙な加減で物語として完成されている印象です。
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おもしろい
2021年12月12日
読んでなかったので買いました。懐かしい。吉野先生らしい作品。この話が好きな人はいたいけな瞳もおもしろいと思う。ラストが締まってて良いです。若い頃読んでたら良さがそこまでわからなかったかもしれない
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吉野さん…最高
2021年9月23日
吉野さん作品は書籍で持つほど好きな作家さん。人間の心の襞を妙に淡々と描く感じが沁みてイイ。今作も実は、とんでも無い内容じゃない?!…を時にシュールに…滑稽に描く吉野さん、サイコー!
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記憶と真実と嘘と本音が織りなす物語
ネタバレ
2021年8月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォローさんのレビューを拝見して、「戸籍」「実子でない」「真実を知る」というワードが引っかかりました。この手の話は気になりつつ、自分にとっては難しいです。ともすると、冷めた感覚が読むことを遮断させることもあります。
蜩の声が聞こえる冒頭、確かに音が記されているのに、静けさを感じます。そして、女子高生のかしましさと男子も交えた賑やかな空間から転換する「わたしを消して」の異質さ。これは一体何なのだろう?主人公・華蓮にとても興味を惹かれます。
パスポートを作るために必要な戸籍抄本を目にした華蓮は、それに違和感を覚えます。違和感の正体を探る華蓮。一番古い記憶は、自分自身のものなのか、それとも親に聞かされてそう思い込んでいるのか。深まる謎。
華蓮は自分のルーツを探すために旅を計画します。無謀に思える旅を手助けしてくれるのは、友達ではない同級生の怜。2人のやり取りが、特に、怜の言葉がいちいち刺さります。一貫して感情の起伏を感じさせない彼の語りが、かえって胸に残って仕方がありません。生い立ちは彼自身が語っているけれど、どんな暮らしをしてきたのか。寝台列車での会話と卒ない手際、市役所でのこなれた態度、戸籍係を「ちょっとエッチな感じ」と言ってのける様、何より、嘘のつき方を知っている彼こそ何者なんだろう、と目が離せなくなります。
そして、華蓮が思い出した真実。あぁ、そこに行きつくまでの流れも、なんて秀逸。「幼稚園児にしては大きくない?」と思った私は、作者さんの技法に唸ります。幼稚園児の姿に戻った彼女が目にしたものの衝撃と、再会。アルバムを持ち出した彼も、その後どんな暮らしをしてきたのだろう。アルバムは、彼にとって一番苦しい持ち物だったと思う。華蓮と向き合う彼の表情が何とも言えない…。
駅のホーム、帰る場所を見つけた華蓮とまだ見つけられない怜。怜の頼みと2人の姿に胸が詰まります。涙が込み上げてきましたが、なぜだかグッとこらえてしまいました。孤独さを比すれば、「同じ」などと言うのは気が引けますが、ただ、彼らの想いを上からでも下からでもなく、同じ場所で感じたいと思うと、泣くわけにはいかないような気がしてしまいました。
本当に素晴らしい作品だと思いました。別のフォローさんがレビューされていた遺作品集も読みたいなと思います。紹介してくださったフォローさん方、ありがとうございます。
淡々と描く真実
ネタバレ
2021年8月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 懐かしい少女マンガの作者さん。昔よくこの作者の漫画を読んでいました。どこか突き放したような、孤独で、悲しくて、どこかいとおしくなる、そんな作風でした。今度の話は、修学旅行で韓国にいくことになり、パスポートのために取り寄せた戸籍から、実子ではないことがわかり、真実を知るために修学旅行をやめて、一人福岡に向かおうとする華蓮。実子でないとわかっても、父母のことは好きで、悲しませたくないという思いもあり。そんな所に着いてきてくれる同級生レイ。淡々と話が進む中で、わかっていく真実。だからといって拗ねるわけでもなく、受け入れていく華蓮。描きかたによっては、とても暗くなってしまうところを、上手く描いているところに、作者の力を感じます。
面白かった
ネタバレ
2021年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 戸籍抄本への違和感から畳みかけるように恐ろしい真実に近づく展開がすごい。コミックにしてはユニークな終わり方だけど、このほうがリアルだね。
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浮かび上がる事情の複雑さ
ネタバレ
2021年4月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 進学やパスポート取得で養子縁組を知るという話はあると聞きますが、その事情があまりにも凄惨。
華蓮とその家族は勿論、「お兄ちゃん」も人生を狂わされた一人。故郷を離れ別人として生きたのだろうし、どんな思いでアルバムを持ち出したのか。あの最期だけが家族の記憶にならなくて、本当に良かった。
青い目の怜が「霜柱の森」の怜と知って読み返すとラストシーンの深みが増します。
吉野先生らしい作品です
ネタバレ
2020年11月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 吉野先生の作品はほとんど読んでいますが、これは先生らしい淡々と感情を語る作品です。本当は怖くて暗いのに、それが淡々と語られることによってそれが排除されまあう。
今回映画化されるということで再読しましたが、おそらく映画ではこれよりも暗いイメージになるのではないのかなあと思います。
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圧倒的な作品
ネタバレ
2020年9月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 圧倒されました。成長した怜君が出てるというので購入したのですが、腹の底からの圧倒感。元々こういう話をよく読むということもありますが、それにしても凄い作品だ。いろいろ感心するところはあるけど、電車のホームで「お兄ちゃん」と会うその1コマのお兄ちゃんの顔。それだけで犯人の子だったお兄ちゃんの年月が偲ばれた。時間をおいて何回も読んでます。
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隠された真実とは
2021年12月10日
最初の方では、主人公の華蓮は少し変わった女の子なのかなくらいの印象でした。戸籍謄本がきっかけで自分の記憶と家族の思い出、自分は誰なのか?を知るために旅に出ます。彼女の出自を調べる過程で、その複雑な事情が分かってきて、驚きます。記憶の「技法」というタイトルの通り、漫画としても仕掛けや伏線的な部分もあったのだなと分かります。全体的に淡々とお話が進んでいく印象で、少女マンガというよりは小説や映画を見ているような感じで、よく出来ているな思いました。
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