男性が私の好みであるため、宮園作品をよく買う。ただ、2014年製作「禁欲の昼と、甘美な夜」などと比べると、2011年作品の本作、少し男性アピール薄め。それでも、充分、頭ポンやら窮地フォローなど、こんなことされたい願望を随所でくすぐられる。
ストーリーは、ありがち。漫画家、脚本家、小説家が、煮詰まって、または書け(描け)なくなって、出会いが仕事も恋もダブル成就。この設定は、ごまんとある。女性主人公だと恋愛経験値の低さがネックとなる話が多いが、男性にもあることなのでは?とは思う。女心と男心のリアリティーに門外漢の厳しさがあるだろうが、現実ゴールデン枠ドラマで、高名な先生が脚本担当しても、納得感の無いやり取りなどあるあるな現象。つい最近の連続ドラマでも子供はまずそんなことない、大人の思考回路を使わせていて大人びた子供設定でないのにおかしい、だとか、違和感ありまくりな作品が放送されてた。
レビューのなかに、不動産業界でなくても知ってることなのに、と、作者が無知だとの批判を見た。そこまで批判されちゃうのかと、読んでいて、その業界(嘘を構築するのが商売。さも、本当のように描写する(語る)ことで作品を作り上げる創作行為が職業)の職を選んだ人に同情した。
私は複数マンションを買ったが、その不動産業界の常識を知らなかった。こんな私では不動産業界への転職はきっと駄目なんだろう。不動産資格を活かしたいと思っていたのに。
話は、出世欲の強い多忙な会社勤務人間を史音の相手に置く、そして史音のほうも、仕事を頑張っている余り恋愛なんてしてるヒマの無かった女性としたかった話なのは、明らか。
そして仕事に正念場なのがわかっていて、恋愛経験値の低さゆえに、彼をとらえ、反面、多忙な彼の時間調整に気づけない。
育ててくれる上司と、チャンスが巡ってくることもある仕事環境が、史音の財産だろう。イケメンの彼氏が偽装であろうとなかろうと、目の前の課題に向かって、一つ一つクリアしようと最大限の努力をしている史音は、それだけで魅力に溢れる。取材熱心で仕事に前向き。
そして、そこを彼が理解する。サポートし、ヒントをもたらし、辛い時にそばにいてくれる。
こんな人、普通にその辺にフリーで転がってるわけはないのに、漫画は夢展開。整った宮園男子がサラリとやらかしてくれるので、それだけで読んでる私は栄養補給される。
序盤の偶然は空々しい。