ネタバレ・感想ありエレファントマン・ライフのレビュー

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巻頭の『砂浜の家』がとても切なくて良い
2023年7月1日
10作入り短編集。
・『砂浜の家』1ヶ月前に妻を亡くした作家の青年。どことなく現実味が無い浮遊感、励ましに来る友人達の喧騒、妻との優しい思い出。とても切ない。星5つ。
・『トマト』トマトが大好物なスリラー作家、ふと入り込んだ愛好会。なんとなくトマト尽くしで進む、変な幽霊話。星4つ。
・『月』『ブリッジ』医者の主人公と、その患者。近代ヨーロッパ貴族の雰囲気が良い。『月』は少し不思議で『ブリッジ』はコミカルな、軽めのBL。
・『くされ縁』良い家柄のチャールズと、素行の悪いエドナー。ずっと心の底に沈んでいるような、本人にもはっきりしないであろう相手への複雑な心情と罪。星5つ。
・『TATAMI』日本に凝ってる友人の異文化コメディーショート。JUNE掲載作なのでそれっぽい要素もねじ込まれてます。
・『エレファントマン・ライフ』失業中で主夫生活を送る主人公、隣に越して来たのはゾウの二人組。日常に突然訪れるファンタジーと、「自分」を取り戻す話。
・『ペキニーズ』アフリカ奥地で動物の生態を調べている男所帯のチームの、隣に訪れたのはちょっと変わった北京から来た女性。わちゃっとした日常。
・『タマリンド水』身ぐるみ剥がれた旅行者の主人公、助けてもらった言葉の通じない村でののんびりとした生活。いつかまたあの村に行ける日は来るのか、少し胸が苦しくなる話。星4つ。
・『奥様お手をどうぞ』天真爛漫な裕福な奥様と、振り回される詐欺師の男のコメディー。なんか楽しい。星4つ。
懐かしい
ネタバレ
2023年7月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 坂田先生の作品を久しぶりに読みました。柔らか頭というか、浮世離れした人物がたくさん登場する不思議なお話が多かったです。
リアル寄りの「砂浜の家」「くされ縁」とファンタジーな「エレファントマン・ライフ」が好きでした(こちらは星5)。短編が10編もありますのでサクッと読めますが、苦味だったり、甘味だったりがほのかに残って、味わい深いです。「月」「ブリッジ」「くされ縁」はほんの少しBL風味です。
1998年9月 総207ページ
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作家名: 坂田靖子
出版社: 白泉社
雑誌: LaLa