未来の自分からの手紙で、この先の未来を知ってしまう。引っ込み思案で後悔ばかりの高校生活を過ごしてしまった主人公が、その手紙によって、この事で自分は後悔するのだと知り、一度は同じことを繰り返してしまうものの、勇気を振り絞って少しずつ、未来を変えてゆくお話。
手紙が届くこと自体ありえないし、ご都合主義に感じる部分もありますが、未来を知っていてもなかなか今というこの瞬間にすぐに自分を変えることなんてできなくて、同じ事を繰り返してしまう主人公の感情なんかがリアルで共感できます。早く未来を変える行動起こしてよ!なんてイライラ、ハラハラすることもありますが、だからこそ面白い。いつも他人のことばかり優先して自分の気持ちに蓋をしてしまう性格の主人公が、翔との未来のために、少しずつでも一生懸命行動を起こす姿に共感ができます。
シナリオ的にとても面白いし、過去をやり直したいという誰しも思ったことのある願望を実現してくれている漫画なので夢があっていいなと思います。
ただ、過去はやり直せないからこそ重みがあって、後悔した過去があるからこそ今の自分もあるというもの。この作品の主人公は、翔に対して計り知れないほどの後悔を抱いていることは痛いほど伝わってきますし、できることなら翔と幸せになってほしいとも心から思います。ただしそれは、高校生の主人公達に対して思うこと。
現在は別の人と結婚し、子供までいるのに過去をやり直したい手紙をあんなに書いているだなんて、現在の旦那さんに対してあんまりだと思うのは私だけでしょうか。同じ過去を共有しているからこそ、お互いに理解できる気持ちがあって、そこから愛が生まれて今があるのではないのでしょうか?
もう10年も前の話。過去は過去なんです。今の幸せを全否定するようなこと、してほしくないなとどうしても思ってしまいます。
けれど、やはり翔と心がすれ違ったまま死なせてしまうだなんて悲しすぎる未来は見たくないので、高校生の主人公が幸せになる姿を夢見て、続きが気になり読んでしまいます。
どのような結末になるのか。そこで大きく評価が別れる作品でしょう。漫画の描かれ方は読みやすくて上手く、題材も面白いので、心に残る漫画だということは間違いありません。