ネタバレ・感想ありだいらんどのレビュー

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内容はおすすめ、新装版アリにつき注意
2025年5月31日
新装版が出ており、そちらの方が定価がお安く、かつ2025年5月現在読み放題に入っています。
「かつて子供だった大人のメルヘン」、作者さんが本当に描きたいものを描いた魅力のある作品だな、と思っています。
ぜひお試しを。
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少しでも気になるなら読んで欲しい
ネタバレ
2019年10月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 下っ端ヤクザの話だと思ったら突然メルヘンな世界に飛ばされて、可愛い世界だと思ったらほの暗い雰囲気や皮肉も効いていて、話が進むに連れ得体の知れない恐怖感が煽られて、終盤には心抉られるシーンがやってくる。

メルヘン世界自体は、オズの魔法使いを軸に童話の寄せ集めのような構造だが、全体的なテーマは「あらゆる苦痛の存在しない世界と現実世界を天秤にかける」という重めの題材。そこに主人公・マサオの過去や根底にある自己否定なども描かれ、グサリと刺さるシーンも多い。
しかし、基本的にはメルヘンで明るい世界と明るい登場人物たち、丸っこくて可愛い絵柄、そして何よりマサオの意思がほぼ一貫して現実に向かっていることが心強く、読み進める苦痛がなかった。重いテーマを読ませるための上手い舞台設定で、ノンストップで読み切ってしまった。

下っ端ヤクザだったマサオが(おそらく)SPとしてメリーアン姫を救って終わると言うオチも最高に良かった。
種明かしまでは憎たらしかったジャックもその意図や想いを知ると悲しい存在のように感じたが、結果的にジャックのおかげでマサオもメリーアンも救われたのだから、ジャックも報われたのかな。
苦痛の存在しない世界を否定せず、全てを知ってなおそこに残る選択をしたルーシーというキャラクターも非常に魅力的で人間的であったと思う。

20年以上前の作品のようだが、普遍的なテーマなので腐ることの無い名作。
少しでも気になったら読んで損は無い。
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