思春期真っ只中の詩万ちゃんのお話…なだけでなく、”娘のためにどうするべきか”を考えながら成長する父親の奮闘記でもあり、父娘ともに応援したくなる心温まる家族ものである。
家族だからこそ譲れない部分
家族だからこそ許してほしい部分
詩万も千広も、そういう部分が見え隠れするので
娘、父の二つの家族観が楽しめる
父親、友達、クラスメイト、親戚…多くの他人からの見られ方を強く意識する詩万
時折、微妙にすれ違う想いに戸惑いつつも父親としての自覚が強い千広
どちらの心も”わかるなあ”と納得させられる
この絶妙な機微を画力、台詞にて丁寧に描き切る関谷あさみ先生の観察力、洞察力、経験、記憶力、共感力…全てに圧倒される
この物語の空気感は漫画という手法だからこそ完全なものになっているのであろうと推察する
さらに、家族観という点でこの作品を評するならば
親戚や友達の家族との関わりも見逃せない
そのひとつ、那由の存在である
優しくてしっかりしてて、同性で話しやすく、歳上過ぎず、その上会う度に美味しいケーキやお小遣いをくれる”友達感覚でいられる親戚の有り難さ”
昔から親戚付き合いが苦手な私が最も詩万に共感できた部分であったし、この共感を理解してくれるであろう読者は少なくないはずだ
この作品は
普段はどこか気恥ずかしく感じて言いにくい、
「家族への想い」を代弁し、心地よい爽快感を読者に届けてくれるだろう