もちろんペチコートとドロワーズにも夢がある。
「メイドさん」だから「メディスン」という雑なネーミングなのにも趣がある、著者最初期作品(と、その続き)。
1巻収録作は同人誌発表で、発表当時「ものすごいのがキター!」ってワクワクしたのを覚えています。
1巻には『シャーリー』の他、5歳の坊ちゃんと遊び相手のメイドとコマドリの雛の話『僕とネリーとある日の午後』、イタズラ仕掛け好きの子爵の大旦那と強気なメイドの日々『メアリ・バンクス』が収録されています。
2巻収録作は商業発表。着々と描き込みがみっちりしていきますw
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仕事はものすごくできるけどまだまだ少女であどけなさもあるシャーリー、少しうっかり屋さんの主人ベネット。二人の日常はなんてことないけれども、ガラス瓶にひとつひとつためていくビー玉のようで、いつか振り返ったときにそのきらめきを懐かしみ、笑顔になって、新しい一歩を大切に踏み出せる……そんなやわらかな光をたたえています。
シャーリーがベネットに向ける「大人」への憧れの眼差しと、ベネットがシャーリーに向ける「子供」への慈しみの眼差し、友人でも家族でもない関係性の中でのお互いを尊ぶ心が、相手が喜ぶと自分も嬉しい様子が、なんとも好ましいです。
そんなやさしい雰囲気の中で、膝下丈で回ると広がるスカートとか、人形に自分で服を仕立てるとか、コルセットとか、蓄音機とか、靴のデザインとか、紅茶を注ぐ姿とか、現実では些細ながらも著者によってクローズアップされている愛すべき物や事柄に「そこが大事なんです!」って著者に同化する勢いでのめり込みたい。
あと、1巻と2巻それぞれで見られる、シャーリーとベネットの「暖炉の火を見つめる横顔」が、すんばらしい対比になっているなと思うので見て!そこが大事なんです!
あとは2巻の夢のシーンが可愛すぎて悶えます。
世界名作劇場の『牧場の少女カトリ』のようなさりげない日常の短篇連作が一番向いている作者さんだと思っており、この作品が最高に好みです。今後も、あまり大きなストーリーを混ぜないでほしいと切に願っています。
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まだ単行本に入ってないのもけっこうある(Wiki調べ)ので、単行本が出せる分たまるまでの繋ぎに、単話で配信してほしい……とりあえず要望は出版社に出しましたが、同じ要望が集まって実現したら嬉しいな。
さあ、あなたも要望を出そう!