ネタバレ・感想あり項羽と劉邦(久保田千太郎/久松文雄)のレビュー

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一巻のみ
2025年9月28日
紀元前の混沌とした中国大地を舞台に、二大英雄の生き様が鮮やかに描き出される本作
百戦練磨の楚の鬼神・項羽は、戦場での豪胆さと冷徹さが同居し、その一挙手一投足に圧倒されます
対する漢の劉邦は、人望と柔軟な戦略で仲間を味方につけ、英雄像の異なる魅力を示す

久保田千太郎の筆致は、戦場の緊迫感から人間関係の繊細な心理まで、驚くほど軽やかに描き分ける
大河ドラマのように壮大なスケール感を保ちつつ、細部の人物描写で読者を引き込む手腕は見事
歴史的事実を踏まえつつも、物語としての抑揚を失わないバランス感覚が光ります

一巻目はまだ序章の趣ながら、項羽と劉邦、異なる「英雄の在り方」の対比が鮮烈で、続巻への期待を大いに煽る
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