ゆったりとしたものが、ゆったりと流れていく。粘りのある、よどみとなってなってなのか、アッサリと清楚な湧き水となってなのかは判らない。いずれにしても読後間は、柔らかく、穏やかなのだ。第19巻「ウマちゃん」を読んでこんなことを考えてみた。仮に「ワカルちゃん」と呼んでおこう。「ワカルちゃん」は、いつも飛んでいるが、時々人のおでこに止まるんだ。そしてその人の優しさを数字でいうのだ。「やさしさ60、やさしさ60」と。そしてまた次の人のところへいって「やさしさ68、やさしさ68」という。だから優しさ60の人と優しさ60の人となら相性は抜群となるのだ。優しさ60の人にとって優しさ68の人では頼りないであろう。でも相性が抜群に良ければ完璧なのだろうか。二人が逆境に立って不安にさらされた時、もう一人が奮い立って、相手を引っ張り上げねばならない場合もあろう、その時にこそ相性の違い功を奏するのだ。そう思った時「ワカルちゃん」もいなくなっていた。