主人公が中学生なので、『子どもの話』と軽い気持ちで読み始めたのに、思いのほか泣かされました。むしろ『子どもの話』だから余計に泣けたのかな。自分の意思とは無関係に置かれた環境の中で生きていかねばならない、まだ中学生という時代にいる主人公達。お互いに逃げようのない人間関係の中、多感な心でたくさん悩んで傷ついて泣きながら、それでも精一杯自分と周りとの関係を前進させていこうとする姿がけなげで切なくて…。最後はやや安易に落ち着かせた感もある展開でしたが、それでもこの子達みんなに明るい未来を感じさせるエンディングでよかったなと思いました。