かなり特殊な思い過去を持つ英と、彼が一目惚れした佐伯との長い恋のお話です。才能あるイケメンの英がひたすら愛する佐伯が、倫理観の緩いただの大学生なのが不思議で、彼女と当たり前のように二股をかけられたり不憫で仕方がなかったです。結局英の隣にいると空っぽなら自分に気付かされると佐伯は離れて行くのですが、この関係が途中で逆転するのが驚きでした。空っぽだった佐伯が自分の道を決め、腹を括る成長ぶりもすごかったし、その後10年近く意地を張り続けた英にもびっくり。作品自体が長い時間をかけて描かれているので、まるで複雑な人の心理を複雑なまま見せられているようで、読み応えたっぷりで、どこかすごくリアルで面白かったです。作品の描かれた経緯を作者さんが書いていらっしゃいますが、結果的に急がされることなくじっくりこの作品を描いてもらえて本当に良かった。ストーリー重視の方なら読んで間違いない名作です!