1巻完結の物語なので仕方ないといえば仕方ないですが、物足りなかったです。
タイトル通りまさに「王様」に育ってしまった幼なじみを、諦めきれず追いかける恋する少女のラブコメディ。
主人公があまりにもバカっぽいので「難関の学校に奨学生枠で入学した…?」と失礼ながら信じられませんでした。愛の力とやらで何とかなる問題なのか……
本当は落ちてたけど、主人公に来て欲しかった伊吹が裏でこっそり手を回して入学させてましたなんてオチがあった方が萌えたなぁ(裏口になるけど笑)
せっかくの幼なじみ設定で、きっと5年前から両想いだろう伊吹にとっての唯一の女の子がのばらなのに、あまりの塩対応で甘さが圧倒的に足りなくてびっくりしました。
編集さんに言われて「ドSを描こう!」をテーマに描かれたと明かされてましたが、これってドSなのか…?ツンデレにしても、もうちょっとデレを見せて欲しい…。
最後まで伊吹が王様の一面しか見せてくれなかったので、魅力を感じることができませんでした。
傲慢な仮面が外れるほどに、のばらのことで焦ったりだとか、もっと愛を感じるエピソードが見たかったです…。「お前俺の事好きだろ?」「はい!好きです!!」「当然だな」みたいな関係性のまま終了しました。
これじゃ王様と犬って感じですね…。忠犬ハチ公(主人公)がそばに居てご満悦の王様。
王様だからこそ、本来なり得るはずがない主人公を追う側になるだとか、意外性がほしかったです。
それとおじいさんが一体何がしたかったのかとても気になりました。その真意は一体…。
あとおじいさんが変人だったことと、のばらへの恋心はまた別だろうに、なんであんなツンツンされなきゃいけなかったのかいまいち分かりませんでした。
同時収録の読み切り、緑の目が1番面白かったです。
作者自身もお気に入りということで、この方はファンタジーを描く方が光る作家さんだなぁと実感させられました。現に最近の作品は全てファンタジーですね。
緑の目の続編が読みたいくらいです。
この作家さんの描くファンタジーが好きなら、この短編目当てに購入するのもアリだと思います。
忌み嫌われている緑の目を持つ少年と、ひょんなことから出会った主人公が彼の優しさに惹かれ、緑の目の真実に触れるお話でした。
緑の目については能力を使う副作用とかありそうでしたしまだまだ続編作れそうな印象でした。