アクマと契約
」のレビュー

アクマと契約

ハル

王道だけどドラマチック

ネタバレ
2018年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ アクマという程ではないけれど、ちょっと意地悪なスパダリと鈍感な純朴青年。人気実力共にトップの俳優と、その付き人で駆け出し俳優という格差カップル。
受けの子の懸命さ健気さが攻め側にとっては堪らんって感じが描かれてて良いです。
受けの子のピンチの時には颯爽と現れ助けてくれて、弱っている時にはさりげなくフォローしてくれて、でも仕事では厳しく甘えさせてはくれない。絵に描いたような素敵な攻め様なのに、その攻め様がこんなにあからさまなアタックをしても全く攻め様の気持ちに気付かない受け君がこれまた良い。
いかにもな王道BLですが、何しろ絵がキレイですし話も単なる恋愛だけに収まらず、きちんとお仕事の面も描いてくれて、時折モブ君たちも現れるので飽きることなくテンポよく読めました。
2巻では、受け君が俳優として少しずつ成長を見せているのも良いです。ただ出来ればストーカーの話を2巻全編で描いて欲しかったようにも思います。というのも、このストーカーが何故こんな妄想を抱くに至ったのか、そしてストーカーの協力者が何故ここまでお付き合いするに至ったのか、更には協力者が最初はストーカーのお手伝いをするつもりだったのが次第にターゲットの仕事振りや人となり、受け君の口から語られる魅力を知るにつれて葛藤していく様などが、掘り下げが甘く感じられたからです。
その辺りがラストでああいう形でアッサリと流されてしまったのが残念に思います。勿論一冊の作品にするには様々な制約があったのだろうとは思いますが。
クライマックスのシーンではインパクトある演出がされていて、良い意味でBLらしからぬところが良かったです。
まだまだ格差は歴然としているものの、注目も実力も着実につけてきた感のある受け君と攻め様が忙しい中でも末永く仲良くしていけるような余韻があって、良い作品でした。
個人的には1巻に登場した橘さんを救済して欲しいし、チラッとしか出てない松井さんも気になるので、スピンオフでも良いので描いて欲しいです。
この作家さんはBL作品はこちらがデビュー作なのか他の作品はないようですが、今後とも注目していきたいです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!