リカー&シガレット
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リカー&シガレット

座裏屋蘭丸

エロ濃い目のカジュアルなラブコメ。

2018年5月25日
今作品は物凄くシンプルなラブコメ。

舞台は煉瓦と階段で彩られたスペインの町。
家業の酒屋を営むテオ(受)と家業のタバコ屋を営むカミロ(攻)は産まれた時からの幼馴染。
テオは明朗活発な健全ノンケ男子。負けず嫌いで周りの目を気にするデリケートボーイ。家業が酒屋なのに下戸なのがコンプレックスになり、我が恥をひた隠し本当の自分を曝け出せない。
カミロは落ち着いた大人の色気があり老若男女問わずモテ捲りなバイセクシャル。10代の頃からずっとテオに片思いしていた。

テオは性癖も自分への恋情も全く隠す事なく接して来るカミロに戸惑いつつも魅了されっ放しだが、頭の堅いテオはゲイや世間の好奇の視線に抵抗があり、カミロが幼馴染であるという認識からもなかなか抜け出せない。カミロはテオの気持ちが揺れ動いており自分をすごく意識してくれている事を感じ、テオにある提案を持ちかける。

…といった感じの山なし谷なしだがエロはバッチリ。
ストーリーは確かにシンプルで、ド肝を抜くような展開やハラハラする様なコトもない。ただ淡々とコメディを挟みつつ幼馴染の二人が恋人になるまでをとても丁寧に描いている。

座裏屋蘭丸作品はどれも作者都合で展開する事がないから好きだ。
そして作風は偏らずシリアスからコメディまで難なく熟し、どんなにライトな内容でも短編作品であってもストーリーが上滑りする事がなくびっくりするほど話が纏まっており、とても読み応えがある。
設定や構成もひと捻りあり王道なのに王道には感じさせない。
作画能力も非常に高く、構図やコマ割りも完璧でその画力は群を抜いている。BL枠どころか日本漫画家の中でもトップレベルだと思う。

【独断と偏見評:1(糞)〜10(超絶良)】
①作画→ 10
10どころか100。左京亜也・わたなべあじあ・座裏屋蘭丸はBL作画ヒエラルキーの頂点。
②構図・コマ割→ 10
コマ割りに無駄がない。構図…デッサン力がパねー。どんな角度であっても肢体のバランスが崩れずディテールまで物理的考証がされてある。
③設定(世界観・キャラ)/構成(粗筋)→ 10
なんてない設定と構成なのに捻りが効いてて新鮮味を感じる。
④展開→ 8
波乱万丈ドッカンハラハラドキドキはない。起承転結が美しい。
⑤演出/描写→ 10
ここまで単調な内容を恐ろしい程に奥行きを持たせるのが凄い。
⑥エロ→ 10
天下一品。BLエロの世界遺産にできる。
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