春の呪い
」のレビュー

春の呪い

小西明日翔

重たくて卑怯。なにより苦しい。

ネタバレ
2018年7月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 二冊とも読みました。概ね、面白かったです。話としてはスッキリまとまってて、無駄にひきのばすこともなく。
恋愛というよりも家族ものに近いですね。ファミリードラマというほどハートフルで暖かい内容ではないですが。読んだ感じ、昔の昼ドラを見ているような感覚がありました。セリフ回しとか、好き嫌いは別れると思います。私は好きですが、違和感かんじる方もそれなりにいるのではないかな。

この作品に難点を言うならばストーリー展開です。
主人公である姉の思い込みばかりでストーリーが展開されている印象が強くて、後半はあまり感情移入できませんでした。ラストはご都合主義にスムーズにいきすぎて、何ともあっさりしている。

ああいう展開ならば母親にとめられても父親にすべてを暴露した上でやりきるくらいに重くあって欲しかったです。そこで父親のエゴを糾弾して欲しかった。姉妹の心の歪みを産んだのは不倫の果てに元妻から娘二人を奪った、義母と父親のお花畑な恋情にほかならないのだから。
不義の罪を糾弾すべきは育ての母だけでなく、父親にこそあるのに。

そこをスルーされてしまっているのが消化不良でした。妹の呪いがあるのならそれは姉だけでなく、姉への罪悪感を持たせる原因になった父や義母、弟にも分け合うべきだと思いました。

くどいですがストーリー展開は途中まで本当に良かったです。なのでラストがあんなふうにサクサクいってしまったのが残念でなりません。絵柄は他の方も書かれていたとおり見やすくてお上手なので特筆しません。星の数はストーリーのみの評価です。

酷評のような感想になりましたが、作品としてはとても好きです。良かっただけにこのような評価となりました。重い内容が大好物な私の過剰な期待があったのでこのような書き方となりましたが、読む価値は充分にあります。ストーリー漫画がお好きならば。

作者ご本人がこのような感想をお読みになることはないとおもいますが、今後の作品も期待しています。
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