魔法が使えなくても
」のレビュー

魔法が使えなくても

紀伊カンナ

心情描写がとてもよかった

ネタバレ
2018年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幸せな気持ちと何故か不思議と物悲しいような気持ちが混ざりあった絶妙な読後感でした。
買うか買わないか少しでも悩んだなら、是非買って読んでほしいと思わされる作品です。

現代の若者の悩みというか特徴が上手く捉えられているのではないでしょうか。きっと共感したり、自分の周りの人に当てはめて納得したり、もしかしたら自分でも気付いてない悩みに気づいたりするかもしれません。

私が特に考えさせられたのは、性別のあり方です。
ちょっと前にジェンダーレス男子が話題になりましたが、中性願望というのは女性にもあって、男とか女とかの枠組みにあることへの抵抗感・どちらでもありたくない、もしくはどちらでもありたい自分。
誰でも少しはそういうの、あるんじゃないでしょうか。

終盤のたまきのセリフ、「白か黒じゃない」というのは千代とたまきの関係についてのみならず、たまきの性別への考え方も著しているように思いました。

セリフでいうと「アイドルも大変だね」と言われたときの「アイドルも仕事だから」というキキのセリフもよかったです。
キキはまだ15~16歳だと思うんですが、もうちゃんと「大変じゃない仕事はない」ということを理解しているんですよね。

まだまだ書きたいことが沢山あるのですが、キリがないのでやめておきます。
登場人物の些細なセリフや行動に、いろいろな感情が表れていて、何度も読み返したくなると思います。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!