宵越しの恋【電子特典イラスト付】
」のレビュー

宵越しの恋【電子特典イラスト付】

川琴ゆい華/橋本あおい

甘すぎ設定に"嘘"は程よいスパイス

ネタバレ
2018年10月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 恋人という嘘と記憶喪失という嘘。しかも1人は嘘を信じているけれどもう片方は嘘だと知ってる。この一風変わった設定に惹かれたのですが、2人の穏やかな日常がメインで、周りもみんな理解ある人ばかりでちょっとドラマ性に欠けるかなという印象です。いつどうやって嘘がバレるのか、自ら白状するのかそれとも他からバレてしまうのか、その辺の緊張感が1番楽しい部分でもあるのにさらっと片付いており、障壁が低すぎる気がします。学校のような複雑で閉鎖的な空間の中では誰しも後悔の1つ2つはあるもので、主人公の深尋も過去の自分を恥じ、嘘に乗っかってでも生まれ変わりたいとがんばる姿は共感できました。准平の方も苦しかったと思います。マイノリティである自分を認め時には諦めながらも前向きに生きてきた彼はとても素敵な大人の男性ですが、深尋を手に入れたいが為に嘘をつき、更に嘘を重ねていく様子は切なかったです。嘘やいじめがテーマでもあるのに不思議と暗くならないのは糖度高めの設定に加え、深尋の成長ぶりと准平の真骨頂に他ならないと思います。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!