後宮を飛び出したとある側室の話
」のレビュー

後宮を飛び出したとある側室の話

はなのみやこ/香坂あきほ

どのキャラも素敵

ネタバレ
2018年12月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小説サイトで連載時から大好きだったので、書籍化は嬉しく、応援の気持ちも込めて購入しました!ちょっとお高めですが、ボリュームあるし、挿絵も見たいし、ショートストーリーつきだし、満足です。Web版にはなかったものとしては、結婚式後のタイミングでのリケルメ目線の回想を含めた短編と、結婚後のショートストーリーがついてます。
主人公のリードは日本人の転生者ですが、それがものすごく大きく作用することはなく、性格や感覚に影響しているという程度です。世界観は中世ヨーロッパ風?で、魔法が使えるとか男でも子どもが産めるとかはありません。
もちろん、表紙のふたりのお話になるのですが、タイトルの通り、リードは後宮を飛び出した側室でした。そのあたりもかなりじっくり書かれていて、リケルメ王との出会いから、10年にわたる寵愛、優しい王妃さま、リードを慕う王子たち、他の側室たち…など、飛び出すまでのことがしっかりあるからこそ、ハッピーエンド後もしみじみ切ない余韻が残ります。
Web版で、思い入れがある方の攻めと結ばれないと納得できない人は読むのを控えて、という感じの注意書きがあったのですが、確かに、リケルメ王も魅力的で、愛があったのも確かで、添い遂げられなかったことがちょっと悲しくなるぐらいなのです。
お話的にも、個人的な感想としても、若いラウルと出会い、結ばれ、活き活きと仕事をしていくという明るい結末と未来は間違いなく幸せで、読んで不満はないですし、そこに至るまでの過程も色んなエピソードがあって、キャラも素敵で、面白いです。
ただ、なんだかしみじみと、出奔前にあーだったらこーだったら、とか当事者たちの後悔や未練の気持ちのようなものを抱きつつ読み終えたお話でした。
いいねしたユーザ12人
レビューをシェアしよう!