このレビューはネタバレを含みます▼
終始一貫して重たい内容ですが、先生の描く瞳や涙が美しく、また妖しい表情に魅了され、その場に充満する重苦しさにも艶を出し、色気をより際立たせており途中で投げ出す事なく読めました。人によっては「犯罪の助長」や「教唆」などの意見もあるかもしれませんが、そのような言葉で片付けてしまうには、あまりにも軽率だと感じました。純粋な愛も嗜好もその対象が何であれ、他人の凝り固まってできた物差しにより弾き出された人が好奇の目に晒され、淘汰されていく世の中はとても生きづらいです。理解ある親の元、友人の元で過ごす事ができれば幸せなのかもしれませんが…なかなか難しいです。たしかに己の快楽の為だけに犯罪に手を染める事は許されないです。けれど、そこに愛があるのなら?では、愛があれば何をしても許されるのか?など色々と考えさせられた今作。どこか不穏な空気を漂わせながら迎えたラストですが、今後一体どうなるのか。とても気になる終わり方は流石はらだ先生でした。仄暗い雰囲気にゾクゾクします。そして、にいちゃんと再開するまで傍にいてくれた舞子ちゃん。こういうさっぱりした性格の子は大好きです。