君は夏のなか
」のレビュー

君は夏のなか

古矢渚

瑞々しく、爽やかで切ない

ネタバレ
2019年2月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 美しいカバーイラストにジャケ買いしたくなったあなた、アタリです。

古矢渚先生の作品はどれも大好きなのですが、中でもこの作品が好き。

後半、行く先も告げず、連絡先まで断っていなくなってしまう佐伯。探すあてもなくなり、気力を失ないかける渉。佐伯から手紙が届き、果たせなかった約束の海辺で邂逅するラストシーンまでの一連の展開に胸が締めつけられました。

古矢先生は自然の描写、ことに空や水の表現が素晴らしいです。黄昏時の空など、モノクロなのにカラーに見えてきます。窓ガラスに映る空、室内に差し込む光などにもハッとさせられます。美しい風景描写が登場人物の心情をも表しているようで心に染みます。
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