このレビューはネタバレを含みます▼
表題作、隠れた名作であり問題作。これはダメな人はダメであろう漫画。
酷いけど凄い作品です。これは、奴隷を支配している人間の方が、心理的に奴隷に支配されていくお話。
まあ、普通の大学生男子の話なんですけど、
その路線で言い換えると「奴隷商人から奴隷を借りたご主人様の話」だと思います。借金のカタとして、無表情で何を考えてるのか分からない奴隷を借りたご主人様。奴隷を性奴隷にし、酷いプレイをしますが、途中からだんだん奴隷に惹かれていき、酷いプレイをしなくなる。だけどある日、奴隷に奴隷商人から電話が。奴隷商人と話す奴隷には、表情があった。嫉妬したご主人様、こいつはやっぱり俺にとっては奴隷なのだと自分に言い聞かせる為に、奴隷に酷いプレイを再開。そのタイミングで奴隷商人が借金を返してくれたので、奴隷も解放となる。解放された奴隷が、ご主人様の家から出て行く時、ご主人様に、唇が触れるだけのキスをする。(実は奴隷はご主人様の秘めた好意に気づいていた)ご主人様、真っ赤になる。奴隷が去った後のご主人様、呆然と後悔。
…あくまで自分なりの解釈ですが、こんな話。支配しているとされていた側が、実は心理的には支配されていた、というお話。振り回されたのはご主人様の方だった、という。まあ、ご主人様も奴隷に散々酷いことをしたクズですが、一度くらい素直になってれば良かったね、と思います。そしたら奴隷との関係も、もっと違った終わり方をしたかもしれないのに。
でもあえて、この終わり方をしたのは、作者さんのセンスなんだろうなと思います。他、短編3本。どれも良かったです。ハッピー系2本、切ない系一本。だけど多分、一番酷くて強烈な表題作が、この先生の真骨頂。現在連載始まったばかりの新作も、ここで高レビューの方々へオススメします。