このレビューはネタバレを含みます▼
現代語訳の文庫本と読み比べ、好みの問題ですが、原作に近い終わりの文庫本の方が面白いと思いました。
友人の裏切り、その果ての妊娠と出産ーー。
軽い男の身勝手と女主人公の悲劇性が強調されてますが、結局は“好きなように生きてきた”ーー“身勝手な振る舞い”の結果ーー“波乱”でしかないと思います。結局、周囲は振り回され、混乱に陥り、多くの秘密が隠されたまま、姉は国母になり、弟は大臣になり、貴族の中でも最強の勝ち組になって幸せにーー好きになれない“終わり”でした。
小説の終わりは原作に近く、女主人公は自らが産んだ異父兄弟の我が子を想い、苦悩しーー幸せそうではありません。中将も女主人公とは、きっともう二度と逢えない事を悟ってーー自分は小説の方が好きです。