愛と別れの言葉
」のレビュー

愛と別れの言葉

ヘレン・ブルックス/中山紗良

悪魔な母と嫁

2019年12月25日
物語はヒロイン ロビンの物思いで占められていた。16歳の頃に抱いた思いは失恋に終わっていたが、12年間変わらずに彼女を占めていた。7歳も年上のヒーロー クレイによる断りの言葉は、その身に相応しくないほどの冷たい言葉だったせいで 彼女を縛っていたのだ。けれど、それには理由があったことは 後に彼が告白している。この物語の引っ掛かるところは、クレイがロビンに付き合うことを提案し、始まった中で 表面的に紳士に見せている 女をおとす手管に見え、悪魔的に酷い母や元妻に傷ついた自分が幸せになりたいという希望からは遠ざかったままの立ち位置で ロビンを求めている事だ。金銭をチラつかせて、姉夫婦の友人という立場をも利用して甘ったれているのが見られて腹が立つ。そういう意味でロビンの行動が正統派で流されず、よく自制したと褒めたいが やはり哀れを催す。クレイの過去に同情はするが、支えてくれた叔母の愛情を無にしている状況には、同情心も薄らいでいく。この展開の中で、なんとか愛情を実らせる唯一の土台は、叔母とロビンの愛情だ。ここが無ければ 甘ったれ男の愛憎劇で終わっていただろう。
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