ボーイミーツマリア
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ボーイミーツマリア

PEYO

きちんと向き合う必要がある

ネタバレ
2019年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「わからないもの」にに対して畏怖の念を抱いてしまうのは、防衛本能として誰もが持ち合わせているものなのかもしれない。だからといって、「男か女かわからない」から「怖い」と拒絶してしまうことはあまりにも暴力的でつらい。
男か女か、カテゴリに当てはめてしまえば分かりやすくて、簡単に理解できた気になれるけど、それって本質は何もわかっていないんじゃないか。だけど、男女のジェンダー的な概念が根強い日本の価値観に染まっていると、くっきりふたつに分かれるって思い込みが邪魔してしまって、カテゴリに分けられない人に対してそうやって暴力的になってしまうんだと思う。
そんな中で、男とか女とか関係なく“ひとりの人間として”相手と対峙できる大河くんはすごいし、”有馬優“を受け入れようと努力してくれた姿に有馬くんは本当に救われたのではないかと思って涙が止まらなかった。
演劇部の他の人たちの反応は暴力的ではあるけど、とてもリアルでしんどかった。実際に今の日本ではああいった反応をする人の方がきっとまだ多いから。
個人的には「男は女を守らなければならない」って価値観は違うと思ってるし、大河父は優にしたことで大河母にしたことが許されるわけではないから、そこも含めて、沢山の問題提起をしている作品だと思って読みました。
BLではないかもしれないけど、様々な愛の形があっていいっと思うし、カテゴリにとらわれず文学作品として考えたら素敵な作品でした。
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