ラスト・オメガバース【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
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ラスト・オメガバース【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

晴川シンタ

オメガバース全否定の世界観

ネタバレ
2020年2月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初に。オメガバースを否定する世界観なので、オメガバースが大好き!という人にはあまり響かない作品だと思います。αとΩが絶滅して100年後、という世界線で、よくよく見ると「現代」ともすこし違う世界軸なんだなぁということがわかります(スマホが普及してるけどメールが主流だったり)。そんな中、突然変異で生まれたαとΩが偶然出会い、惹かれ合うというストーリー。αもΩもいない世界で生きる二人は、どちらも「他人と違う、受け入れてもらえない」という苦悩を抱えていて、自分の特殊性に対しては否定的です。「運命の番」かもしれない相手に出会っても、相手に惹かれるのはΩ(α)としての本能がそうさせているだけでは……と悩んだりして、つねに後ろ向き。最終的に、片方が特殊性を消すことによって、ごく普通の自然な生活を手に入れる、というお話。個人的な感想としては、読後感悪くないです。悪くないんですが、Ωとかαの性に振り回されてもだもだ……というシーンは、他のオメガバースでもお決まりの流れだし、最後の「オメガバース全否定」なラストシーンは、まぁこのお話の主旨としては合ってるんだろうけど、今いち共感性に欠けるんだよなぁ……という感じで、総合的に「他のオメガバース本と比べて面白い所は特に無い」になってしまっているのが残念でした。悪くはないけど、良くもない。私はオメガバースが好きでも嫌いでもないし、この話の作者さまは好きでけっこう読ませていただいてるんですが、それを含めても☆3が限界でした。悪くないです。ただ設定を活かし切れてない感じが否めないと思います。
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