幻月楼奇譚
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幻月楼奇譚

今市子

恋愛前夜の人情奇譚

2009年8月27日
限りなく昭和に近いある時代の物語。

老舗味噌問屋の若旦那・舛一郎(イケメン器用貧乏)と怪談以外の芸を持たない幇間・与三郎(丸眼鏡がステキな食わせ者)の付かず離れずの微妙な関係を軸に繰り広げられるホラーミステリー。

この二人の間にある想いは…まだまだ微妙で恋愛前夜(でも、その奥ゆかしさ?が時代背景に絶妙に合ってます)。

そんな二人の掛け合い(コミカルで本当に面白い)に笑わされながら、物語は…
若旦那の跡継ぎ問題、若旦那の縁談&過去の女の登場、与三郎の過去…人の心に巣食う情念や業欲を妖(あやかし)に重ねて、複雑に絡み合い展開していきます。

言うなれば…大正浪漫風味な百鬼夜行抄といった感じでしょうか?

あっと言う間に読者を引き込む筆到。息をつかせぬストーリー展開。そして美しい画。さすが今市子さん!文句なしの面白さです!

未読なら是非ご一読下さい。
ジャンルの枠を越えて多くの方に読んで頂きたい作品です。
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