媚の凶刃
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媚の凶刃

池玲文

濃厚

2020年5月11日
なんと濃厚な甘さ。『媚の椅子』にて韮沢に堕ちゆく加賦は、遂にこの『媚の凶刃』にてどうしようもない愛の地獄に嵌まり込んだ。抜け出れぬその韮沢への溺愛地獄の中、極道としてより気持ちを固め、強くなってゆく加賦。そしてついには、韮沢の為に地位をも賭けるまでに愛に溺れ、ヤクザとしても成長する。
そして加賦の為なら・・・加賦の愛を得る為なら命を惜しまず差し出す韮沢。
2人のこの重い濃厚な愛は、読み手である我々の気持ちを強烈な甘い痺れへと突き落とす。
本作中、テレセク描写があるが、いい大人の、しかも極道の2人の、ピュアな想いがつたわり、なんとも言えぬ萌え感を受ける。
本当にお互いが好きで好きでたまらないのだなと、我々に感じさせる重要なシーンだとおもっている。
勿論、それ以外にも攻めの加賦の溺愛ぶりが表されるシーン盛り沢山。私は映画化も視野に入れ、キャストまで想像してしまった・・・それほどまでに、彼らをもっとみたいのだ。そこまでハマらせるストーリーだと評している。
そして、コウキの存在も又甘く苦い。察するに・・・巻末年表に依れば、彼はage15の頃より韮沢と行動を共にし、彼の個性に惹かれながら、過ごした。佐川より韮沢が加賦の情夫だと知らされても尚、ひたすら韮沢を想い、coolに立ち回る姿に心打たれる。 コウキが韮沢に身体を見せて欲しいとねだるシーンは、ちょっと胸が痛む。コウキにはコウキの想いもあるのだ・・・
ん〜粋ってこういう奴をいうのかな。ある意味コウキってカッコいい♦彼と韮沢の話も又是非読んでみたい。
最後に・・・ヤクザ物特有のグロさが苦手と仰る方々へ・・・
お気持ちお察しするが、それ以上の強烈な愛ゆえのエロティックさや重く濃厚な甘さを知れるのであれば、克服できる様に私は思う
ぜひ、名作のシリーズ全てを堪能して頂きたい
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