このレビューはネタバレを含みます▼
刑事ものとしては、個人的には「S」を超えたと思います。復讐の目的のために、幼い少年ふたりが、ひとりは警察官(刑事)、ひとりはヤクザとして(こちらは予想以上の出世をする)、お互いに協力しあいながら、次々とふりかかる敵に立ち向かうさまは、本当におもしろいのひとことです。
あえて、難点をあげるなら、イクオの「相棒」であり、恋仲になる、警視庁キャリアの「ひびのさん」が、いらぬスタンドプレーをして、重要な登場人物を巻き込んで死なせてしまったり、それを、あまり「自分が原因」と重くは受け止めていない描写があることかな。
それと、本庁でのイクオの「上司」となる坂東が、重厚な人物として登場するも、こいつは相当のドクズです。
自分が「違法捜査」をして手柄を挙げたものの、それが回りまわって「後始末」として、同期の刑事がスケープゴートにされて悲惨な人生の最期を迎えます。
坂東はそれを知りながらも一切の手助けをしません。この復習として、成長した「同期の息子」に詰め寄られると「一緒に死んでやるから、憎しみの呪縛から解き放たれろ」といった、まさに「おまいう」なセリフを吐いてのドヤ顔をします。
こんな人間のクズなのに、その正体を知りながら坂東を慕い続けるイクオの姿には疑問ですが、そういうところも含めての漫画かと。
大変な長編物語ですが、時間を使って読破する価値はあります。