スモーキング
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スモーキング

岩城宏士

愛すべき四人組

ネタバレ
2020年6月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は、表紙などから、シガーが好きな、喫茶店の老店主と常連の日常的なストーリーかと思っていましたが、裏社会ならではの「復讐代行業」の凄腕メンバーによる物語でした。

それぞれの得意分野を持つメンバーが、協力し合い、次々と、どうしようもない社会のク〇を「処刑」していくようすは、読んでいて、スカッとします。

ただ、それなりに、グロ表現があり、内容も「重い」ので、たとえば「ウシ〇マくん」がダメな人は、ダメでしょう。

一方、「善〇の屑」や「シマ〇マ」のような、徹底的に「処刑」のようすを写実的に表現するというまでではなく、自分にとっては「ライト」に感じられるほうです。

リーダーの老人は、元その世界の人であり、組織から追われている身でもあり、緊迫感が常にあります。

そのリーダーを呼び出すために、関係ない人が被害に遭ったり、「別荘」から出てきた敵が、とりあえず復讐に向かう途中で、なんの関係もない人を「軍資金ほしさ、あそぶ金ほしさ」に頃したりと、かなり、つらいシーンもあります。

それでいて、その、関係なくも頃されてしまった人たちの「仇討ち」などは、特にすることもありません。あくまで、動くのは「依頼」があったときだけです。

そこに、彼らは「正義の味方」ではなく、あくまで「報酬」と引き換えによってのみ、また、自分達そのものを防衛するときにのみ行動するという、冷たい現実があり、ここに「苦手」を感じる人はいるかもしれません。

個人的には、最年少のキャラが大好きです。

メンバーのひとりが、標的の娘である少女と(居所をしるために)交流するシーンでは、実際に心をかよわせているような表現もあり、ほっこりするときもありますが、基本は、あくまでドライな請負人たちです。

好き嫌いがわかれるかもしれませんが、ほかの「復讐モノ」よりは、どこか「穏やか」な空気がするのは、メンバーどうしの「絶対的な信頼関係」が、見え隠れするからでしょうか。
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