そもそも恋は欲だらけ
」のレビュー

そもそも恋は欲だらけ

茶緒/山口夢

9巻まで読了

ネタバレ
2020年7月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙のカラー絵は綺麗なのに、何故か漫画の方は絵が微妙。でも読んでいるうちに慣れるかと思って、そのまま読み進めました。ストーリーが興味深く、細かいところでちょくちょく笑わせてもくれます。巻を追うごとに不安定になっていく絵に若干の不安を感じながらも、9巻の時点ではまだ受け入れられる範囲内です。
私が興味深いと感じたのは、紅葉と泰輔が事あるごとに今の自分の心の声に耳を傾けていることでした。過去に強烈に望んだ願いは、その後も自分を縛り続けます。その願いに忠実に生きることで幸せに近づく感じがして安心できるからでしょうか。でも、変わらないものなんてないんですよね。紅葉と泰輔はガチガチに今までの自分に縛られていましたが、違和感などで自分の変化を感じ取り、小さな感情でも納得するまできちんと向き合っていました。紆余曲折ありながらも、その都度自問自答する様子が丁寧に描かれていて、自分に対して誠実であることは相手に対する誠実さに繋がるのだなと思いました。自分も世界も刻一刻と変化していく訳ですが、この2人のように今この瞬間の自分の願いをくみ取る作業を積み重ねていけば、これから何が起きても、その状況に対応できるようになるのではと思いました。泰輔が結婚を決めたのには、本人たちは勢いでこうなっちゃったみたいな感じでいますが、読者としてはとても説得力がありました。
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