果ての荒野でバカンスを
」のレビュー

果ての荒野でバカンスを

赤河左岸

涙が止まらなかった

ネタバレ
2020年7月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ ネタバレ含みます。
切ないBLも好きだけど、泣いたりして疲れてしまうのでどちらかと言うとハッピーBLや軽めのBLが好きです。でもこれは試し読みを読んで、絶対買わなくちゃと思ってすぐ買いました。
買ってよかった、本当に買ってよかったです。
表題作「果ての荒野でバカンスを」は、宇宙の果てで単身赴任をするシンと、地球でサポートするルキヤのお話。短編ですが、この二人しか出てこず、また二人の距離が文字通り遠く離れているからこそお互いを思いやる気持ちが強く伝わってきますので、とても濃く感じます。
最後、長いバカンスに出た二人はどうなるのでしょうか。ルキヤの魂はシンのそばにありますから、幸せなのかもしれない。でも肉体的にはシンはずっと一人であの宇宙にいなければいけない。AIが故障したりしたら?なにかトラブルがあったら?
エンディングの後のことが1番気になるのに提示がないので、読者の想像に委ねる系が好きな私は読んでからずっと二人のことを想像しては涙しています。
ルキヤのことを好きなシンが、三年の単身赴任の寂しさをルキヤとの通信やサポートAIをルキヤの姿にしたりして埋める姿は最後まで読んでからもう一度読み返すとたまりません。特にハッピーバースデイのシーンは。ルキヤはシンのところに飛んで行きたかったんだろうなあ。お互いがお互いを愛していることもきっと暗黙で理解していたんだろうなあ。
おまけのエンドロールも、最初はこのお話が映画の話だったのかと一瞬救い上げてくれましたが、やっぱり違いました…。
正直ハマらない人もいると思いますが、もう私はめちゃくちゃ好きです。
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