女王の花
」のレビュー

女王の花

和泉かねよし

読後、なかなか余韻から抜け出せない秀作

ネタバレ
2020年8月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 壮大な物語なのに、登場人物の気持ちをきちんと描いていて15巻とは思えない内容の濃い作品でした。時代背景、薄星との身分の違い、亜姫の背負うものの大きさから考えて、薄星と亜姫が今生で結ばれる事はないと1巻から分かっていたので、生きている2人が心を通わせていくのを見るのが本当に心痛くて、何度も涙しました。だから正直、薄星が亡くなった後の方が安定した気持ちで読めました。あんなに嫌がっていた文字を学び、自分がいなくなったあともちゃんと女王として生きていけるように、文を残した薄星のどこまでも深い亜姫への愛情に、亜姫はどれだけ救われたでしょう。最終回どんな終わり方をするのかドキドキしましたが、薄星と亜姫の純愛が最期結ばれて本当に良かった。もともとファンタジーな世界観なのだから、最終回の終わり方はあれでいいと思う。亜姫の長年の願いが叶って本当に良かった。全てのしがらみから解放され今度こそ幸せになって欲しい。 私の想像は年老いた亜姫が生と死の狭間で見つけた千年の花を使い、薄星と一緒に生きることを望み、既にあの世にいる薄星を引き寄せたと思っています。だから死ぬ間際に忽然と消えて2人で幸せに永遠に生きていくのだと思います。ラストは読者の好きに想像出来る余韻を残してくれたのは感謝です。 戦争のない平和な日本である今、目の前にいる大切な人を大切にしようと思わせてくれる作品でした。
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