青楼オペラ
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青楼オペラ

桜小路かのこ

何度読み返しても楽しめる!!

ネタバレ
2020年8月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大きな目的を達成するために、一進一退を繰り返しながらも、迷って悩んで、その都度答えを導き出しながら、必死に前へ進もうとする茜たち。最後までハラハラさせる展開だったのもありますが、それ以上に彼女たちの生き様に心奪われて、最後まで没頭して読んでしまいました。江戸時代の話ではあるけれど、現代風にアレンジしてあるので読みやすいし、セリフやモノローグが小気味良く、掛け合いの絶妙な返しでは何度も笑わせてもらいました。
絵柄や話の展開は正に少女漫画のそれなのですが、登場人物達が色気を撒き散らしていたので(良い意味で)、興醒めすることもなく作品の世界に浸れました。特に表紙や扉のカラーイラストが妖艶で素敵でした。
特に印象的だったのは、茜の人物描写でした。茜は複数の顔を持っている上、相反する要素が同居しており、感情もジェットコースターのように両極を行き来します。それでも読者がついていけるのは、周囲の男性陣との関わりを上手く使って表現しているからではないかと思います。跡取り息子のように親の敵討ちをする一方で、女として惚れた男と添い遂げたいと願い、幼い頃から支えてくれた家来には弱音を吐いて甘えたりする。忙しない人だなぁとは思いますが、そこがなんとも魅力的で、彼女に翻弄される男達に大いに共感できました。個人的には利一推しで、現代にはない主従間の純粋な想いに萌えました。それぞれの男に注目しながら読み直すと、茜の新たな一面を発見できたりして面白いです。
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