の、ような。
」のレビュー

の、ような。

麻生海

私の主義には反するのですが…

2020年10月4日
否定寄りのレビューと、書くまでも無く人気のある作品にはレビューしない主義なのですが、
どうせすぐに埋もれるだろうし、どうしても釈然としない内容があったので書き込みます。

普通に読めば面白いと思います。
絵も洗練されていて見やすいですし、こんな可哀想な子が居たら、こうしてあげたい…
という読み手の気持ちを汲み取るように、自分がボロボロになりながら
ことごとく子育てをこなして行く姿は、読んでいて心地良いです。

それ故に「おぃ…ちょっと待てよ…」と思う部分がありました。

年端も行かない5歳の男の子に、軽い気持ちで女の子の服を着せて
「本人も喜んでいるし、そういう子に育つなら否定しないであげよう」と、
簡単にいつでも女の子の服を着れるようにした事です。

「普通」とはマジョリティ、最大派閥で、
「普通じゃない」とはマイノリティ、最大派閥ではない、
というだけの事です。

マイノリティを無為に否定したり差別したりするのは、程度が低い、
愚かな行為であるのは言うまでも無い事ですが、
世の中は普通に生きるのが一番「楽」なのは間違いの無い事です。

にも関わらず、子供が悩み苦しんでいるわけでもないのに、
マイノリティ側に袖を引っ張るようなマネをして、
ソレがさも「理解ある大人」のように描かれている事に、
とても疑問を感じました。

この作品を読んで「キナホのような人間でありたい」と思う人は少なく無いでしょう。
その結果小さい子供に「自分で選ばせてあげたいから、一回着せてみよう」
という人も増えるのでは?と考えてしまいます。

私はソレが良い事だとは思えません。

この件に関しては、キナホにはもっと葛藤して、慎重になって欲しかったです。
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