このレビューはネタバレを含みます▼
とにかくストーリーの骨格が、とてもしっかりしています。予知夢によって自分の運命の相手を知り、その出会いを心の縁として生きてきた雨森と、その運命の相手である由比。最初は雨森に翻弄されるだけで懐疑的だった由比が、次々と実現してゆく雨森の予言と、その真っ直ぐな愛に惹かれてゆきます。由比のことしか未来がわからない雨森に、どんどん気持ちが傾いてゆく由比が、今度は自分が雨森の死を予感させるような不思議な夢をみるようになります。そして……… 例えようもない喪失感の中、由比に思わぬ救いの手が未来から差し伸べられてきます。
200年もの間、悲しみ、苦しみ、思い続けるその愛の深さと一途さ、孤独さ、その切なさあってのハピエンです。BLとかSFとかの枠に収まりきれない名作かと思います。個人的には、猫さんの最初のセリフが『セロ弾きのゴーシュ』の猫さんのセリフだったのも素敵でした。
読んで損の無い、何度でも読み返して楽しめる作品です。