この世のふたり
」のレビュー

この世のふたり

くも

暗いテーマで淡々としてるも心地よい話

ネタバレ
2020年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家さん。
不倫の果ての心中からタイトル通りこの世に遺された二人の話。時代モノで和装と洋装が混在し、むつみ君が置いてきた洋服からモダンボーイを連想させるから大正時代なのかな。

心中女性の夫きさらぎ(作家)×心中男性の愛人むつみ。

世間の喧騒の煩わしさと喪失感の中引き合った二人が、孤独を恐れて寝食を共にする生活に平凡が戻る中、幸せになって良いのか疑問や再び人を失う不安など複雑な心情が苦しい。むつみ君は既婚男性の愛人で最期不倫女性を選ばれた虚無感が気の毒。

既にこの世に存在しない人へぶつける事も過去を消す事も出来ない二人が、雪の日の思い出の様に少しずつ上書き出来る日常に意味のある話良かったです◎
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