ポチごっこ。
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ポチごっこ。

アッチあい

ダメリーマンが巨乳JKに飼われるお話

ネタバレ
2020年10月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 概要を見ると大変エロいシチュエーションだがエロはほぼ無し。ただのラブコメ作品と見せかけて、実は現代社会の問題を取り上げた良作だ。要領がすこぶる悪く、ひとつの仕事に時間をかける割に、出来はよろしくないし、締め切りを守れない。こういう人は確かに一定数いる。サラリーマンは会社の看板を背負って働いているから、個人の失敗は会社の失敗となり、他の働いている人達にも悪影響が及ぶ。締め切りに間に合いそうにないとギリギリまで上司に報告せず、挙句の果てに無断欠勤し、ジサツ未遂に至る主人公は、全く正しくない。尻拭いをする会社の同僚達が無断欠勤を続ける無責任な主人公に対し愚痴をこぼすのは当然だと思う。頭数が減れば代わりの者を補充する言い訳が立つから、辞めてくれた方が助かるというのも、その通りだと思う。主人公のお兄さんは大変優しいと思う。弟からジサツを仄めかすメールが届き、そんな度胸は無いと思いつつも、急いで休暇を取り、心配して様子を見に来てくれる。弟のために新しい働き口も探してくれる。良待遇の仕事が、そんな簡単に見つかるわけがない。作品内では語られていないが、「どうか私の弟をよろしくお願いいたします」と、頭を下げて回ったに違いない。何より、通勤通学のバス停でたまに挨拶程度の会話を交わす、知人とも言えないくらい接点が無かった主人公の様子を心配し、身を挺してジサツを止め、学校を休んで自宅に匿う巨乳JKは、女神と言っても差し支えないだろう。これほど優しい人達に囲まれた主人公は果報者だが、本人にその自覚があるように思えない。とにかく働かないとダメだという強迫観念に駆られて再就職を果たすが、根っこの部分が変わっていないのだから、長続きするはずがなく、またもや疲弊していく主人公。巨乳JDとの再会を果たし「俺、やっぱり働きたくない」と泣きつく。巨乳JDは「あなたが働かなくてもいいように、私がいい会社に入って、たくさん稼いで、あなたを養ってあげる」と答える。女神だ。恐らく数年後に一人のニートが誕生することを示唆して物語は終幕する。しかし現実の世界に女神はいない。主人公のような、いわゆる社会不適合者は、これほど至れり尽くせりの状況にあっても、一人前になれないのだ。本作はフィクションだが、ニートや引き籠りに関する報道と照らし合わせると、そう感じずにはいられなかった。
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