Daisy Jealousy
」のレビュー

Daisy Jealousy

おげれつたなか

期待しすぎてしまったのかも

ネタバレ
2020年11月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作家買いです。おげれつ先生の作品はエスケープ、恋愛ルビ、ネオンサイン等々本当に好きだったのですが、今作は個人的には普通かなという感想です。「攻の才能への嫉妬」という主題はとても面白かったのですが、ちょっと流れがパターン化しているように感じてしまいました。また、急に嫉妬の場面に展開したなと思ってしまった箇所が何ヶ所かありました。終盤までは常に嫉妬の影がチラついていた方が心情が分かりやすかったかな、と個人的に思います。主観ですが、受の感情が+の中に-の感情を持ってしまうというより、+と-の感情の間を行ったり来たりしているように感じてしまいました。また嫉妬の感情の場面が多いので、お互いが恋に落ちる過程もちょっと分かりにくかったです。そしてラストの、すべてを捨てたはずの受が再びプログラミング(でいいのかな)の世界に戻る決心が付く場面も、ちょっと急かなと思いました。また、その決心がついた理由も私的にはいまいちピンと来ませんでした。途中で攻の足を引っ張りたいといった、単純な嫉妬だけではない心情が描かれており、そこはとても好きでした。ですが、その心情についてはあまり掘り下げられることがなく、こんな自分が嫌いだ、という感情にまとめられてしまった印象です。そこを掘り下げてくださったらもっと好きだったなと思いました。上下巻構成だったら良かったな~と感じます。また、受が攻の才能に嫉妬する場面というものも、そんなに重くなく、そして似たような場面が何回か描かれていたので、もっと心を抉るようなしんどい場面が1つあってくださっていればもっと面白かったのかなと思います。恐らく、おげれつ先生の今までのお話を知っているので、このような感想を持ってしまったのだと思います。そして、終盤はそこまで違和感はなかったのですが、イラストのタッチが少し変わったかな?と思いました。あとがきを見るとネームが手書きからデジタルになったそうなので、それでなのかもしれません。イラストはもちろん綺麗で素晴らしかったです。ただ、今までに比べると表情の濃淡が多少アッサリ目になり、顔のアップの描写が減ったような気がしてしまいました。全体的に重くはなく、そんなに身構えなくても読める作品ではないかなと思いました。おげれつ先生の作品を今まで読んだことのない方には特におすすめです。ただ、個人的にはあまり見返さない作品かなぁという感想です。
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