屈辱のウエディングドレス
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屈辱のウエディングドレス

リン・グレアム/羽生シオン

本気

2020年11月20日
借金、意思の弱い弟。結婚で帳消し。
話はそれほど波乱無く進む。
羽生先生の黒使いのセンスが好き。意外な位に灰色の配分あるのに疲労しない。物語空間がドラマチックになってることも多い。それでいて暗くならない。コミカル。
ロマンスを信じないと嘯きながら、実はゴールインはロマンチックに芝居じみて、二人は何かと素直でない。しかし二人はそれで合う。ヒロインのピンチに悪者をやっつけてくれて、ヒーローは期待される役どころも颯爽と演じてくれる。なんだかんだ、姫は王子により救い出され求婚されるという場面さながらで彼女を酔わせ、おとぎ話を地で行くのだ。ヒロインがおとぎ話を信じないとしながらも、実は大好きだったように、彼も信じないと言いつつ、自分にとってのヒロイン登場を感じていた。
彼だって、本当はとても優しく、本当はとてもロマンチスト。
シリーズ1「情熱の聖夜と別れの朝」の時の皮肉屋で揺さぶり屋アポロがねぇと苦笑もの。邦題はそっちはしっくり来るが、こっちの、「屈辱のウエディングドレス」って、勘違いを誘いかねず、読んでる私が恥ずかしい。そう来るなら、「金で買われた」契約臭をもっと式のシーンでプンプンさせないと。ウェディング段階では気持ちの救済が行われているから、「屈辱の」は使うのならば此のストーリー中ではもっと前の段階にかかる語であり、ドレスに付けられているということが変な感じになってしまうのだ。

いつものことだが、こんな邦題は勘弁して欲しい。
原作には話中に論拠があるのだろうか。

転回部の別れと、エンディングの再会、絵のかっこよさに引きずられそうになるが、やはりもうちょっと盛り上がり欲したかった。前半マフィアまで出ながらこじんまりとストーリー回していた。
弟は見限ったよね、薄幸だったお姉さん!
母親っていうのはなぜ(娘より)息子に弱いことがあるのだろう。
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