ディレイル
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ディレイル

相葉キョウコ

お見事です

ネタバレ
2020年12月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読みにして感心しきりの一冊です。幼なじみ同士の粘着系ラブストーリーです。想像では、攻めのハルが光に執着して、自分の手中に落とす為に、じわじわ攻略して攻め落とすものとばかりと思っていました。ハルの心理状態を語りに合わせて、拗らせた想いで攻めていくんだろうなぁ、と…そう想定外だったのは、光です。交互にハルと光の心理状態が描かれ、拗らせていたのは二人ともか…なるほど。拗れた両片思いなのか…緻密な計算で光を追い込み、自分に夢中にさせる算段。あぁ、そんな遠回りしなくても、ただ素直になればいいだけなのに…人の心は計算ずくでどうにかなるもんじゃないんだよ?他人の心も自分の心も、変わるもんなんだしコントロールなんて出来ない。ましてや、相手の気持ちを知りたいなら、自分の気持ちもさらけ出す事が必要な時もあるんだから…ハルの誤算は光の気持ちを読み損ねた事、駆け引きをした事。人を試すなんてもってのほかです。ハルはもう少し、自分の事も光の事も、信じる事を身につけなきゃダメだねぇ。光は誰よりハルの一番になりたいだけだから、精一杯愛してあげて欲しいですね。お見事な心理戦でした。
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