ばら色の頬のころ
」のレビュー

ばら色の頬のころ

中村明日美子

Jに出会う前のポールとモーガン

ネタバレ
2021年1月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「Jの総て」の前日譚で、どちらから読んでも、共にしっくりくる部分があると思います。ただ、「ばら色の頬のころ」の本編後の後日談は、「Jの総て」の後日談でもあるので、それは「Jの総て」を読んでからの方が、いいように思います。「Jの総て」の痛々しさを癒す意味でも。
明日美子先生のお話は、先が読めず、ドキドキハラハラさせられますが、「ああ、そういうことだったのか」と納得できる伏線回収が癖になります。「Jの総て」では計り知れなかったポールへのモーガンの想い。「愛されないならいっそ憎め」と思うほどの気持ちがありながら、Jの良き理解者であり、ポールとJが結ばれた後も関係を変えることはなく、二人を祝福するポール。最後に頬を真っ赤に染めながらポールを抱きしめる姿が切なすぎました。
「Jの総て」も「ばら色の頬のころ」もトランスジェンダーや同性愛の苦悩、マイノリティを排除しようとする人たち、家族の確執がエグられるように描かれてあって、しんどくもなりますが、私はとても惹かれる作品です。
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