【単行本版】虚構ユニゾン
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【単行本版】虚構ユニゾン

アキハルノビタ

ふわっとしてるけど引き込まれる

ネタバレ
2021年1月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ アンダーエリアの情報屋の響×アッパーエリアの没落貴族の坊ちゃんである春野の、兄探しを通じて様々な愛ゆえのエゴに向き合っていく物語。
圧倒的世界観…は言い過ぎかなぁと。雰囲気はあります。
描きたいものをとにかく詰め込んだという感じで、設定(特にNEO)を活かしきれていないせいか、読む上で細かく気にしなければ困らない程度にふわっとした世界観となっています。
私はそれよりも画力に圧倒されました。何だか芸術的で魅力的な絵を描かれるお方ですね。
この画力故か、作品にものすごく引き込まれました。テンポも良くて読みやすい。
ストーリーはハラハラすることもなく割とサクサクと進み、後半の佳境の部分も真実を淡々と語られるだけという感じなので少し物足りなさがあるかも。
真実を知って、だから相手をどうするかって話ではないんですよね。見切りをつけるだけ。
愛に飢えていた春野が、自ら依存を断ち切りケジメをつけることができたという点は良かったです。
とにかく響が軽そうに見えて包容力たっぷりの男前で、春野がとても可愛くて時に男前で最高でした。
最後のやり取りとか、ふたりがちゃんと恋人になってからの関係性が垣間見えてニヤニヤ。
受けの凝り固まった気持ちを攻めが解きほぐしていくみたいなBLがお好きな方はぜひ。
エチは少~しだけありますが、ストーリー重視なのでキャラ同士のイチャイチャは少な目です。
受けが他の人に身体を売る描写があるので苦手な方はご注意を。
ちなみに、作者様の某イラストサイトに母親と兄のその後のお話があります。気になる方は覗いてみてください。
この後日談を読んで、えっ母親かなり正気やんと思ったんですが、幸せを奪った一族の子である春野のことを憎んではいたけど、殺したいほどではなかったってことなんですかね。去る者は追わず。
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