カラーレシピ
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カラーレシピ

はらだ

いけいけ、福介!

ネタバレ
2021年1月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ はらだ氏の作品の中で一番好きかもしれない。
主である福介(攻)・笑吉(受)の性格的なバランス、攻の陰謀を客観的に観ているりくの存在感(この人がいるから作品全体に奥がでる)。
平べったいストーリーが多い中、立体曼荼羅を思わせる各キャラの配置はさすが。

作品中笑吉の事を福介が「かわいい」と連呼するが、本当にあのストイックさ、真摯さはかわいい。福介の気持ちが分からないではない。いけいけ、福介!(でもよく読むと福ちゃんも優しいとこ、あんのよ。)

りくの存在について(退屈な話ですぞ)/三角形はいい。なんなら日本文化は真行草の3つで出来ている。本作の場合、笑吉・福介・りくの頂点から成り立っている。実は福笑だけでもストーリーは成り立つ。ただそうするとただの線であり、世界が広がりにくい。そこで3人目のりくが登場するわけだが、よくあるパターンだとこの3人目が派手に動く。そして動きすぎると存在自体が自己主張し、立派な平面上の正三角形になってしまうのだ。これが本作の凄いところで、りくはじっと見ているのだ。じっとしながらも強烈な存在感を放っている。福笑をストーカーの如く観察し、少し忠告するだけ。この静けさが平べったい頂点ではなく奥にある頂点となり、立体的な三角形が完成する。
はらだ氏の作品では三角形を作っているものが他にもある。「あんちゃん」が見事な三角形を作っているが、まいちゃんよりりくの方が3人目の在り方としては風情がある。というか、同氏ならではの、得体の知れないゆかしさがある。
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