ラムスプリンガの情景
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ラムスプリンガの情景

吾妻香夜

普遍的な愛。シリーズトータルで☆5

2021年1月24日
個人的には次作の『親愛なるジーンへ』がスピンオフという位置付けを超えた大傑作だと思っていて、寧ろ何も予備知識なしに次作から読むことをオススメしたいくらいです。本作はシリーズ第一作ということで、物語と共にアーミッシュという特殊なキリスト教一派の説明が含まれます。親切でありがたいですが、次作はそいいう部分が全て削ぎ落とされ、いい意味で物語としての完成度が高まっているように感じます。とはいえ、本作も、時代や場所の設定、キャラクター、背景まで書き込んだ絵、エンディング、全て綺麗に折り重なった魅力的な作品です。
時代物や外国物は苦手という方でも、大丈夫と思える普遍的な物語。心の綺麗な人々による、綺麗事だけではない愛の話を読みたい全ての方にオススメです。基本はBLですが、友情、家族愛、郷土愛、大人になるという成長物語も折り重なり、物語に深みがあります。アーミッシュは賛否両論ある一派ですが、作者さんは政治的にはニュートラルに、心情的には温かく、でも啓蒙的に肩入れすることなく、フラットな一個人の視点を貫いて描いており、好感を持ちました。
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