このレビューはネタバレを含みます▼
初読みです。自分の想像を遥かに越える超大作でした。可愛いらしいファンタジーと思っていたんです。確かに可愛いっ!もふもふの神様も小さな分身の神様も、すごく可愛くて優しくて癒されます。もふもふの体からちっちゃな手が出て、抱き止めようとした時には可愛さで悶絶。あぁ、もふもふしたい。時折、人化する神様バクと、ちょっとヤンチャな神使シンの素敵な物語に、涙と鼻水の蛇口が壊れてしまい止まりません。もうこんな素晴らしいファンタジー、映像化して欲しいくらい秀逸作品です。
どの世界にもあるはみ出し者。好き好んではみ出したワケじゃない。『普通』と違うから、『みんなと同じ』じゃないから起きる異端児扱い。誰しも孤独なんて望まない。けれど、そういう風にしたのは、線引きする多くの普通と思ってる人たち。哀しい事です。シンとバクは同じ境遇の者同士、出会う運命だったんですかねぇ…唯一わかり合えるともだち。なのに、いつしか記憶が途切れてしまい…
バクがね、自分の境遇を悟りきっている事が哀しいんです。神様なのに、なぜ孤独に日陰の暮らしをしないといけないんだろう。澱みを消滅させて、感謝されていいくらいなのに。身を引く事を知りすぎているのが辛いです。お互いが共に居る事が安らぎなら、遠慮はいらない。主様の「己の身を粗末にせず、自分の好きなように生きなさい」という言葉が、深く重く突き刺さります。全然次元も問題も違うけれど、現代のいじめで命を断つ全ての世代の事が、ふとよぎり涙しました。この作品のテーマは大きくて深いものだったのではないかと思います。二人で末長く生きていって欲しいですね。とても良いお話でした。キャラがみんな可愛くて、いい人たちです。
最後にBLらしく、書き下ろしに笑ってしまいました。サンザシ先生からのプレゼントが粋です。グッジョブです。