このレビューはネタバレを含みます▼
大きく息を吸い込み、ふぅっと静かに息を吐いて肩の力を抜く。これが早寝電灯先生の作品を読み終えたあとのルーティンです。深い作品に引き込まれると、自然と息を詰めて読んでいるようです。
転生ものとしてわかりながら読んでいると、この先はどうなるのかとドキドキしてました。徐々に甦る前世の記憶。その記憶に振り回されないように、今の現実が大事と言った八尋の方が、転生の渦の中に引き込まれたみたいに、記憶が深く入り込む。かつて恋人同士だった二人。叶わぬ夢は未練として今に残り洋介は、三雲と共にあり続けたい。だけど、今を生きるのは八尋であって洋介ではないし、吉武であって、三雲ではない。だから三雲はちゃんと最後の挨拶をしたかったんだね。もう切なくて哀しいんです。涙が溢れて、胸が痛い…
願いを託したかのように、静かに去った二人。もう涙。涙。
彼らの願いと共に、ずっと一緒にいられますように…
最後に愛しあいながら、『伊織』『達彦さん』と名前を呼んだのが印象的で、素敵なワンシーンでした(泣)
ピアノを弾いていた若竹が、なんと、そうだったのか。もうほんといいオチです。
その後の二人の様子が温かくて、当たり前の日常を当たり前に暮らす幸せを噛みしめているようです。