犬も喰わない
」のレビュー

犬も喰わない

彩景でりこ

歪みはあれどただひたすら追いかける純愛

ネタバレ
2021年2月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ セールにて。私には刺さる大好きな先生で、この作品も本当に好みすぎてしばらく浸っていました。
屈折した愛の表現。
探偵事務所に勤める空木は大学教授の山代から妻の身辺調査を頼まれます。調査中に妻と表れた男、同じく大学教授の奥園。調べると、今回だけではなく、山代が関係した女性全て後から奥園が寝取っていたことが判明。その二人の奇妙な関係の中に空木も入り込んで三者三様の想いが交錯していきます。
他人から見れば不毛でしかない恋でも、熱すぎる情念が静かに潜む姿を過去の回想の奥園の目に感じ、ゾクッとしました。悪態をつきながら2人と関わる空木もまた、くすぶる想いを腹に抱えて生きてきた1人。彼らしく最後まで喰えないカンジがまた良かった。
最後の山代と奥園のシーンで山代が言った一言に、ぎゅうううと胸が締め付けられてしまって、彼らの長い長い恋の事を思って、目頭が熱くなりました。もー拗らせすぎ!!笑
ラストもですが、終始最低限の描写に留めて、読み手がそれぞれの想いを想像しながら読み進める事が出来、どっぷりと余韻に浸れる作風がとても好きでした。

同時収録作品がこれまた・・!それぞれの胸の内を想像してしまうと胸がイタイ。
その苦しい想いに「骨」で追い打ちをかけられました。
あ、途中に入ってる「中年思春期」も大好き!
でりこ先生らしい変態っぷりと高校生の性欲の強さが可愛いすぎました。おっぱいて笑
空木と高校生は若いけど、長年拗らせる大人の恋愛なのでおじさんだらけですのでご注意を 笑
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