良かった





尊敬できる人を好きになりその彼のサポートをして共に仕事出来る喜びが、報われぬ気持ちを抱えては側に居続けられない苦しさになる。
相手に気持ちを言わせることの多いHQ、これはそうではなくて、ヒロインが気持ちを迸らせて気持ちをぶつける場面にカラリとした良さがある。そこに至るまでのエピソードの積み重ねも、この衝動的告白に繋がって本作の魅力にもなる。
原作を読まないで殆んどコミックばっかりの読者としては、固定ファンが多いらしいべティ・ニールズ氏の、どれもこれもオランダ人医師と看護師カップルが、狭い世界でのああだこうだには、もういいやとそっと離れようとしていたところ。
だが青鹿毛先生の個性が本作の設定に似合って、意外にこれ迄の閉塞的等質感を打ち破ってくれてる。
削ぎ落とされた背景は、手抜きによるとは思えない。フォーカスの効果を感じる。メインキャラの舞台装置として巧みに二人の存在と行動にスポットライトが当たるさまとなる。
一見漫画というよりはアニメの絵柄なのだが、切り取られたコマの見せ方はやはり漫画であって、不思議な落ち着きと、選ばれた視界を見せてくれる。
イケメン設定じゃぁないのか、との私のちっぽけな落胆を、二人の関係の麗しい生成が忘れさせてくれる。
言葉で語ってしまわない、彼の心情は読者は絵で察せよとばかりに漫画家は漫画で勝負してきた。そこも気に入った。ダンの方が顔がいいのも、作り手の意図を感じる。
ヒロインが自分は先生の相手にならないとの諦めの気持ちになっているとき、変な僻みが有るわけでもないところも好感。
ヒロインの目が大きめである点だけが、大人に見えにくくさせて少し損しているようだ。ただ、青鹿毛先生の人物絵は、モデルさえも負ける不自然に小さな頭(9頭身とかの)の漫画とは対照的な凡人プロポーション。丁寧な作画で、目に優しい美点はある。
ずっとミス.ネピアと呼んでいたヒロインのことを(フィッツギボン先生が)フローレンスと呼ぶシーンが地味に良かった。

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