紅椿
」のレビュー

紅椿

三田六十

やさしいお話

ネタバレ
2021年2月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作者さん。表紙買いです。里の人から疎外され一人で暮らす佐吉と生み捨てられた鬼の子・アカのお話です。読み返す度に泣けてしまいます。どんなにそっと触れても蝶を壊してしまったアカ、人にはなれないアカ・・・アカの自由を願って手放した佐吉、アカを探さずにいられなくなった佐吉、鬼としてのアカを受け入れる佐吉・・・佐吉を食べないアカ、雪が降って指切りをしなかったアカ・・・言葉が通じたら・・・相手のことを想っただけなのに、恋い焦がれただけなのに、言葉だけが通じなくて・・・佐吉とアカの深い想いに私の言葉が詰まってしまいます。ラストは、思いがけないハッピーエンドです。これは作者さんの優しさだと思いました。タイトルを「やさしい紅椿」にしたかったと仰る作者さんの描きたかったことがあふれる作品だなと思います。書下ろしもどこまでもあたたかくてやさしいです。
追記:最期に山の小屋まで背負って行ってくれたのは、佐吉の孫ではなくて、佐吉に泣いて詫びその後も良い関係を築いていた与助の息子ですよ~と気になったので書いてみました。
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東北関東地域の地震が心配です。コロナ禍で、仕事柄制限が厳しい生活を余儀なくされ、病みそうになっていたところで電子書籍の本の世界に没頭することで心を保っていました。あるとき、ハッとするレビューに出会って、フォローさせていただいて、作品を読むのと同じくらいレビューが楽しみになりました。まだまだ生活は窮屈だけど、日々に楽しみがあることがうれしくて救われています。皆さま、どうぞご安全に。
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