妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)
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妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)

橘ちなつ

子供の命をなんだと思ってますか?

ネタバレ
2021年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 妊娠したら死にたくなったというタイトルが全てを表しています。主人公は子供が欲しいからではなく、妊婦に憧れて妊娠した。妊娠すれば出産して人間を産む事になるのを完全に失念した妊娠であると感じました。

出産が近くなってお腹に他人がいることに恐怖心が芽生え、パニックになり持病の精神疾患が悪化。私には他の精神病も発症しているように思えました。
終始自分可哀想。悲劇のヒロイン。何も悪い事してないのになぜこんな目に遭わなきゃならないの?という描写ばかりでパートナーの夫、自分の両親、赤ちゃんにも愛情どころか思いやりも何もなく自分本位の言い訳だけつらつらと並べられていきます。

お世話してくれる医療者に至っては悪役も良いところの書き方。妊娠と医療に対する悪意しか感じません。

そもそも薬から離れられないほどの精神疾患があるなら断薬を医師に相談の上定期的に通院、それと同時に家族計画の相談も行うべきであったと思います。主人公は自分に甘すぎます。

産まれてくる赤ちゃんをアクセサリーかなにかと思っていませんか。自分と同じ人間だとわかっているのでしょうか?大切な存在であること、1人の人間である事、全く理解していませんよね。
自らの愚行で命を危険にさらし、医師の判断で緊急出産、妊娠の強制終了せざるを得なかった事。これってかなりヤバイです。普通産婦人科では早産でも良いから子供を早く取り出そうなんてそうそうはならないものです。それから、妊娠出産を描く作品なのに子育てを一切していないどころか子育てに携わろうとすると精神崩壊する母親を強調しているのにも悪意が感じられます。
作者は終始、可哀想な自分を描きたかっただけに思います。


これから妊娠を考えている人と妊婦、精神疾患をお持ちの方には絶対にお勧めできません。
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